| ■6.27-29 ■黒部・平乃小屋 ■参加者:ヤマトさん・直・冨 |
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| tam,tam、tam,tamと規則的にタイヤが路面の継ぎ目をひろう振動が、ステアリングを通じて伝わってくる。深夜の中央自動車道に連なるトレーラーにまぎれ、明日の天気を思う。かたわらではヤマトさんが、少し昂ぶった表情で話しかけてくる。今年も平乃小で遊ぶ季節がやってきた。ちょっと寝不足だけれど、それより嬉しさが勝っている。 黒四ダムから見上げる立山は雲に覆われていた。しかし、気圧を計ってみると天候は回復しそうな気配だ。かなりの残雪があるから、渓での釣りはだめかな。だが、黒部湖の水位は高いし透明度もまずまず。流れ込みでの釣りは楽しめそうだ。 |
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| 5月に会ったばかりなので、覚さんとの再会も久々という感じがしない。「次は山で」がここ数年の僕と覚さんの「さよならの挨拶」になっている。大阪を発つ前日、覚さんから「肉を買ってきてくれ」と連絡がはいった。小屋が開けてから数週間、山暮らしを再開した覚さんだが、やはり川魚や野菜ばかり食べていると飽きがくるらしい。 「肉、買ってきたで」「おう、サンキュー」。そんな会話を交わしビールをやる。またここに来たか、今年もこの湖畔で楽しい事があるだろうかと、ま新しいベンチで思う。 流れ込みは水位が高く、流芯が対岸に沿って流れている。流れに沿ってルアーをトレースさせたいのだが、難しい。というのも、こちら側からだと僅かのリトリーブで手前の浅瀬にルアーが寄ってくるのだ。上流からダウンクロスで打ちこむ手もあるのだが、ルアーを流すと手前の樹にラインがからまる。今日はダメかな…。 そんな状況で数時間が過ぎ、思いきって樹の横の砂地に立ってみた。思いきってと書いたのは、流れ込みでの立ち位置は気をつけないと危ないからだ。増水でできた砂地は締まっておらず、ヘタをすると膝ぐらいまで埋まってしまう。幸いにもこの場所はなんともなかった。ヨシ、ここからだと僅かだが流芯をトレースできるぞ。 まずはスプーンを流芯より少し対岸側に落す。と同時にフライのようにラインを上流にメンディング。カウント3で沈めて、スローリトリーブ。駆け上りをイメージしながら、地形を探る。今度はカウント5まで沈めてみよう。おっと、根がかりだ。どうやら流木か何かが沈んでいるらしい。そうこうしているうちに待望の岩魚が掛かった。 ただ、スプーンだとどうも根がかりが多い。思い切ってサスペンド・ミノーに変えてみたら、こいつが釣れる。良く泳ぐしフッキングも良好、そして根がかりも無い。最終的には尺上を含め7尾。最後は「偵察隊」と思われる虹を掛けて、終了した。その虹を掛けたあとは、パッタリと釣れなくなった。「偵察隊」…、どうやら本当みたいだ。 |
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| その夜、みんなで岩魚と虹の刺し身、そして岩魚汁で酒をやる。ああ、なんて楽しいのだろう。自分で捕った魚の美味いこと。リリース至上主義の人がこれを読んだら、怒るかもしれない。けれど一度ここに来てみてくださいと僕は言いたい。渓を歩き、湖のキャパを感じ、山々を見てくださいと。それからでも結論づけるのは遅くないしね。「湖は天然の養魚場、雨が降ると岩魚は遡上する」と覚さんが、そう言っていたのを思い出す。 翌朝は土砂降りの雨。今日は釣りはダメだねと、僕は朝からローズをやりながら読書ときめこんだ。だが、初めてここに訪れたヤマトさんは「中の谷を見てくる」と行ってしまった。さすが孤高のフライマン、その探求心がヤマトさんのエネルギーの源なんだ。 昼過ぎに帰って来たヤマトさんに聞くと、凄い濁流で恐怖すら感じたそうだ。流されたら、それこそ木っ端みじん、そんなところに近づきたくないよ、僕は。 夕方、雨も止みヤマトさんと二人で小屋の下でルアーを引いてみた。そこでヤマトさんが銀虹を掛けた。本当に嬉しそうな笑顔に僕も微笑む。「これが前から言っていた、銀の虹」「こいつが食ったら美味い虹」と偉そうにレクチャーする僕。雑誌やTV番組でもこんな銀々の虹は見たことがない、少なくとも僕はね。 最終日、天候は回復し、探求心おう盛なヤマトさんは刈安峠まで山歩きに出かけた。僕は今日も朝からローズと読書。 平乃小屋に通いはじめて数年。当初は「岩魚を釣りたい」という釣師の思いで足を運んでいたが、今は少し違うようだ。 雨が降れば釣りはできない、じゃあ、何をするのか? 釣りに行って釣れない、じゃあ、面白くないの? 釣りをする、釣った魚を食う、酒をやる、本を読む、山を歩く、木々を見る、みんなで話をする、そう、時間の使いみちは自分次第なのだ。山が好きだという、自分の好奇心の量だけ楽しめるものがある。それを見つけるのは自分。「聞いてきたら、教える」と言う覚さん。先生、今日は自習ですか? やったー! |
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