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| ■7.25-27 ■黒部源流・薬師沢小屋 ■参加者:中島さん・及川さん・船木さん・冨 ■Photo:JUNA・FUNA・TOMI |
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| 「立ち位置」という言葉がある。ことばそのままに、舞台で役者が立つ位置のことだ。 「上手・下手(かみて・しもて)」という言葉もある。客席から見た場合、舞台の右が上(かみ)になる。いっぽう、演者は基本的に客席を向いているので、左側が上。上手と下手の位置は変わらないが、自分が見る場所、立つ位置、立つ向きによって「右左」が変わる、ということだ。 |
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| 2000年の夏。黒部の山々に抱かれながら高天ケ原までのトレッキングを楽しんだ。温泉を満喫したあと、薬師沢小屋へ戻るルート、大東新道は黒部川沿いの河原歩きだった。 その時見た景色、黒部源流部のおおらかな印象、「一度はここで釣りをしてみたいな」。そんな思いから三年がたった。 「今年は行くか」と決意し、船木さんと及川さんが同行してくれることになる。 03年7月25日、金曜あさ6時。有峰林道入口にみんなが集合した。 栃木からは船木さんと及川さん。それに薬師岳の写真を撮りたいと参加した中島さん。地元富山の大ちゃんと京都のヤマトさんは二人でスゴ谷をツメる計画で、完全装備。さらに折立の駐車場には友人の中川君の四駆が止まっていた。僕らより先行して支谷で釣りを楽しんでいるのだ。 太郎平までの登りは霧雨だった。蒸れるレインウエア、ガスで見えない景色と気分がめいるが「本番は明日」と自分にいいきかせる。 計画当初、「赤木沢をツメようか」と提案したのは船木さんだった。「それも良いね。ただ、釣りをする時間がとれるかな?」と釣師の視点から僕は返答をした。その後、幾度かメールでやりとりをし、「今回は薬師沢小屋の連泊にしよう」と始めの計画に落ち着く。 うっとうしい霧雨だが、薬師沢小屋まで行ってしまえば、明日は終日釣りができる。だから、この登りも少しばかりの辛抱なんだ。 |
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快晴のもと、三人で本流を下流にむけ歩く。「赤木沢までいこう」と前夜話をしていたのだが、小屋の青年に勧められてこの本流に釣り場を変更したのだ。 広い本流は、釣り下っても岩魚が元気よくでる。及川さんも船木さんも、そして僕もビシビシ釣る。最初はテンカラ竿を振っていた僕だが、広さに戸惑いフライロッドに持ち変える。結ぶ毛鉤は10番のカディス。 流れのむこうを狙い、フォルスキャスト。シュート、そしてメンディング、フリッピングでラインを送り込めば、わずか数秒だけのドラグフリー。次の瞬間、きらめく飛沫…。「フライフィッシング・ハイ!」 |
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| 源流嗜好になってからというもの、そのフィールドはどんどんと狭くなっていった。短い竿、短いライン、短いアプローチと狭い渓にあわせてコンパクトな仕掛けで釣りをしていた。それが釣れる術だし面白い釣りだと思っていた。 ところがここはどうだ? 渓流釣りが本来内包するおおらかさや、のびやかさが残っているこの釣りは、どうだ? もしかすると「狭い」釣りになれすぎたせいか、忘れていたのかもしれない。「広い」釣りが僕にもあったということを。それを思いおこさせてくれた渓、黒部本流。 |
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| 今回参加したみんなの立ち位置は違うけれど、それはそれで面白い。立ち位置が違うと上下(かみしも)が変わるように、視点をかえると面白さもかわる。 自分の嗜好が変わったことに気づいた時、変わったのは嗜好ではなく「立ち位置」かもしれないと、考えてみてもいいかもしれない。 個体差のおおきい岩魚をながめ、それだけで嬉しくなる自分。そんな単純な喜びへの回帰。それを思い出させてくれたこの渓と友人に感謝したい。 「船木さん、次は赤木沢ツメ行くか?」「おうよ!」 |
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