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3月初旬、渓流釣りが解禁になります。それまでの秋から冬のあいだは雨女魚(あまご)や岩魚(いわな)たち渓魚とは禁漁期間で遊べないのです。2月も終わりに近づくと釣師たちはソワソワしはじめます。今年もたくさん釣れるかな、大きい雨女魚が残っているかな、などと夢がふくらむのです。
でも、毛鉤釣りを愛好する釣師は少し迷います。なぜかというと、まだまだ寒い山間部での渓流釣りでは毛鉤の出番は早すぎるのです。渓魚たちの主食はカゲロウなどの水性昆虫なのですが、この時期は水温が低いため水性昆虫が少なく、渓魚たちの動きも鈍いのです。ですから、水底にじっとしている彼らは水面近くに水性昆虫に似せた毛鉤を見つけたとしても、無視を決め込んでしまうのです。
「3月は毛鉤じゃ釣れない」とわかっているのなら釣りに行かなければいいのに、こいつが難しい。やはり冬のあいだ大好きな渓流釣りを我慢していたからでしょう。散々迷ったあげく解禁になると自慢の毛鉤を持参して、山にでかけてしまうのです。結果は見えているのに困ったものです。
そんな毛鉤師たちを尻目に、餌釣りの人たちはすごい釣果をあげてしまいます。悔しいなあ、何で餌(ミミズやイクラ)だとあんなに釣れるんだろう。やっぱ、毛鉤にはまだまだ早いよ…。
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わかっています。なぜ釣れないか、充分すぎるほど理解しています。なのに毛鉤師たちは里に梅の花が咲くこの時期、ソワソワしてしまうのです。
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