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Vol.2 Feb.2004
つたない文章で
ロックについてつらつら綴るコーナー、
2回目でございます。
・
前回の文章について感想を下さった方々、
ありがとうございました。
皆様からの声援・反応が
唯一の励みでございますので
今後ともよろしくお願いいたしますです。
(やっぱり選挙運動みたいだよな)
・
今回は
2003年のベスト・アルバムに「NO REGRETS」を選んだ
HARDCORE SUPERSTARと、
個人的には
2003年新人賞候補の
CRASH KELLYを取り上げたいと思います。
・
HARDCORE SUPERSTAR & CRASH KELLY
まずはHARDCORE SUPERSTARから。
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HARDCORE SUPERSTAR
スウェーデンの港湾商業都市
イエテボリに本拠を置くバンドで、
デビューのきっかけは
彼らのデモをたまたま耳にした
MOTORHEADのドラマーのMicky Deeが
その音に惚れ込んで
北欧ツアーのサポートに起用する等
バックアップしたため。
MOTORHEADのリーダーであるLemmyも
彼らの作品を
1998年最もよかったアルバム
に選ぶなど、
まあ言ってみれば
ロックン・ロール界の御大から保証書を戴いて
華々しくシーンに登場した、
という感じでしょうか。

・
1997年に結成された彼らは、
1998年のアルバム・デビュー以来
これまで4枚
(インディーズから1枚、メジャーから3枚)
アルバムをリリースしていますが、
そのうち1枚目の
「IT'S ONLY ROCK'N'ROLL」
(どっかで聴いたようなタイトルよね)
と
2枚目の
「BAD SNEAKERS AND PINA COLADA」
は、
6曲がかぶっているという変則的リリース。
・
これは1枚目と2枚目の間に
ドラマーがDyna MikeからAddeに代わり、
レーベルもGainからMusic For Nationsに変わったため、
以前の曲に新曲を加え、
Addeのドラムで
レコーディングしなおしてリリースした、
という経過があったため。
実はこの
"同じ曲を別のドラマーでレコーディングした"
という事実が、今の彼らの個性が
どの辺りに起因するのかを想像させる
ポイントでもあったりするのだけれど、
それはまた後ほど。
★
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「BAD SNEAKERS AND PINA COLADA」で
日本でもビクターからデビューした彼らは、
BACKYARD BABIESやHELLACOPTERSといった
折から人気を集めていた
スウェーデンのロックン・ロール・バンドの一翼として
日本でも認知され、
現在に至るまでに2度来日もしています。
そのサウンドはいわゆる
Bad Boys Rock'n'Rollといわれる
パンクやグラムからの影響を受けた
したたかでスピード感あふれるロックン・ロール……
と片づけられないのは、
実は3枚目(メジャーからは2枚目)の
「THANK YOU (FOR LETTING US BE OURSELVES)」
の存在があるから。
このアルバムねえ、
うーん、
なんというかいわゆる問題作なのよね。
作りとしては面白い曲が多いし、
2曲くらいアルバムに入っている分には
アクセントになっていいんじゃないか、
って感じなんだけど、
そういう曲ばかり並べると
逆に印象が薄まっちゃういい見本なんじゃないかと。
実際、
バラードとかファンクっぽい雰囲気の曲とか、
面白い個性を出しているし、
色々なことをやってみたいという
バンドの意欲は大いに買いなのだけれど、
いかんせん
「きみたちの得意技はこれじゃないでしょ?」
って言いたくなるような。
考えすぎっていうんですか? これ、最近の
某スウェディッシュ・ロックン・ロール・バンドにも言えるんだよな……
悪いアルバムじゃないんですよ。
気に入る人も絶対いると思うし。
(すいませんね、煮え切らなくて)
そう思ったのは私だけではなかったようで、
あちこちで賛否両論巻き起こったそうな。
「自分達自身でいさせてくれてありがとう」
というタイトルを持つアルバムならではの反応とも言えますが。
ま、
そんな経緯を経て
2003年夏にリリースされたのが
「NO REGRETS」
な訳です。以上おさらい。
★
★
で、
この「NO REGRETS」なんだけど、
出だしからいきなりシンガーのJocke Bergの
「Yeah!」って叫びで幕を開け、
あとは最後の"Who Who"
(日本盤ボーナス・トラック)
まで全編
「ロケンローで突進あるのみだぜ、ベイベ」
風なサウンドに満たされている訳です。
元々非常にメロディ・センスがあり
いい形でポップな魅力を出せるバンドだけに、
メジャー・コードの曲でもマイナー・コードの曲でも
印象的なフレーズを次々繰り出してきてくれて、
聴いていて自然に身体は動くし、歌っちゃうし、
一人でにぎやかな状況になっちゃうんですが。(苦笑)
例えばMOTLEY CRUEの「TOO FAST FOR LOVE」、
あるいはCHEAP TRICKの「IN COLOR」辺りの
甘いんだけど、毒もある、
あの雰囲気を想像してもらうと
近いものがあるかもしれません。
それプラス、
このアルバムで非常に強く感じたのが
"Urgency"という言葉。
"切迫感、焦燥感"とでも訳しましょうか、
デビュー・アルバムの
「BAD SNEAKERS AND PINA COLADA」
でも見られたこのUrgencyが
「NO REGRETS」にも満ちあふれている。
「THANK YOU (FOR LETTING US BE OURSELVES)」
ではこれは消えていただけに、
曲調がもたらす雰囲気の違いというのは
大きいものなんだなあ、と実感したりして。
そしてここで先ほどのおさらいに登場した
"同じ曲を別のドラマーでレコーディングした"
という話が再登場します。
★
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「IT'S ONLY ROCK'N'ROLL」と
「BAD SNEAKERS AND PINA COLADA」
双方に収録されている曲は6曲。
何が違うって曲の疾走感が全く違う。
実際演奏そのものもスピード・アップされているのだけれど、
後者のアルバムでは
曲全体が前のめり気味になって
追い立てられるような雰囲気を伝えてくる。
これはやはりドラマーの
Addeのプレイによるところが大きいんじゃないだろうか。
ロックのドラマーには大まかに言って、
曲のビートよりややつんのめる感じで入ってくる
前ノリのタイプと、
ジャストのビートで入ってくるタイプ、
さらにLED ZEPPELINのJohn Bonhamに代表される
後ろへふれる後ノリのタイプがあると思うのだけれど、
このAddeは
スピーディな曲だとかなり前ノリ、
それものめっちゃって
身体が斜め前へ向かってるんじゃないか
ってくらいつんのめったビートでプレイしてくる。
(特にバス・ドラムのキックがぐんぐん曲を引っ張っていく感じ)
そのつんのめったビートがUrgencyを生み、
サウンド全体の切迫感となって聴き手に迫ってきて、
こちらを
いても立ってもいられない
気持ちにしてしまうように思うのだけれど。
そしてその気持ちは
ロックン・ロールという音楽が持つ
普遍的な"若さ"
に通じるように感じたりもするのだけれど。
ロックン・ロールという音楽は
例えいくつの人がプレイしてもどこかに若さがある。
未熟さゆえの焦りや、
無理解な周囲に対する怒り、
どこから生まれてくるのかわからない思い詰めた気持ち、
そういったものが音になっている音楽だから、
やっぱり
どこかにUrgencyが潜んでいるものなんじゃないだろうか、
と。
HARDCORE SUPERSTARの2枚のアルバム
「BAD SNEAKERS AND PINA COLADA」と
「NO REGRETS」にはまさにそのUrgencyがあって、
クオリティの高い曲と相まって
魅力的なサウンドを作りだしている、
とそう思っている訳です。
★
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もう1つ、
長くなったついでに付け加えさせてもらえば、
彼らのもう1つの魅力は
歌詞と発音にもあります。
英語圏の人間ではないがゆえに、
時には歌詞が舌足らずになったり、
Jockeの歌も
スカンディナヴィア独特の
重いアクセントになったりするけれど、
それが逆に
思いあまって言葉に詰まっているような、
少年ぽさを感じさせてなんともCuteだったりして。
年齢的には30歳前後と
決して若いバンドではないけれど、
どこか万年少年みたいなバンドなんだよな、
HARDCORE SUPERSTARは。
ややハスキーでざくっとした感覚の
Jockeの声は
AEROSMITHのSteven Tylerの若い時や、
元BUCKCHERRYのJosh Toddをも彷彿とさせる
天与の声だし、
スリムな肢体が醸し出すクールな雰囲気は
フロントマンには打ってつけのかっこよさなのも
彼らならではの武器。
とにかく早い時期にまた来日して熱いライヴ、
見せてほしいバンドの1つです。
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CRASH KELLY
さて今回取り上げたいもう1つのバンド、
フィンランドのSPIHAとならぶ
2003年新人賞候補
(SPIHAは前があるみたいだけど)、
それがカナダはトロントを本拠とする
CRASH KELLYです。
よく覗いているイギリスのCD通販サイト
『Changes One』で
アルバム「PENNY PILL」
のジャケット写真を見た瞬間、
「あ! この人、絶対T.REX好きだ」
とひらめいて
(だって髪型が故Marc Bolanにそっくりだったんだもん)
ジャケ買いしてみたらもー、どんぴしゃ!
2003年
ヘヴィ・ローテーションCD
の1つになりました。
音はT.REX meets HANOI ROCKS meet THIN LIZZY meets REDD KROSS
といったところでしょうか。
実際、彼らのサイトでバイオを眺めてみたら
影響を受けたミュージシャンのところに
T.REXとTHIN LIZZY、HANOI ROCKSの名前があったので
当たらずといえども遠からずではないかと。

カナダのトロントを中心に
セッション・ミュージシャンとして活動してきた
Sean Kellyがリード・ギターをプレイし、
歌も唄いのワンマン・プロジェクト
というかワンマン・バンドなのが
このCRASH KELLYで、
曲も"Since You Been Gone"
(RAINBOW でおなじみのRuss Balardの曲ですな)
以外は殆ど彼が一人で書いているもの。
結成は2002年というからまだかなり新しい。
でも、
バンドのアーティスト写真を
イギリスのQUIREBOYSのNigel Mogg
(UFOのPhil Moggの甥っ子です、念のため)
に撮影してもらった縁から
QUIREBOYSのイギリス・ツアーのサポートに起用されたり、
SKID ROWのイギリス・ツアーのサポートを行ったりと、
イギリスで先に名前が広まりそうな雰囲気が漂っております。
実際、
こういう音は
イギリスのファンって好きだと思うし。
ポップなんだけど
ちょっと翳りのあるサウンドっていうのかしら。
Sean Kellyは結構才能豊かなミュージシャンらしく
(大学で音楽を専攻してたそうな)
ギター・プレイはメロディックで耳に心地よいし、
曲もクオリティが高くて
マイナー・コードとメジャー・コードを
うまく使い分けながら
無理のない展開で素直に耳に入り込んでくるもの。
サウンド的にはT.REXのブギや
HANOI ROCKSのスピーディなロックン・ロール、
THIN LIZZYのギター・フレーズなどからの影響を
うまくとりこみながら、
ちょっと前にあった
パワー・ポップと言われるサウンドの流れも
ちゃんと消化している感じがします。
例えばアルバムのタイトル曲でもある
"Penny Pill"は
T.REXのトレードマークである
ブギのリズムを採り入れつつ、
音の作りはアメリカのバブルガム・ポップ
(風船ガムのように甘ったるくて軽快なポップ・サウンドの総称)
風味もありで、
全体としては
REDD KROSSのシングル曲
"Switchblade Sister"
を思い起こさせるような雰囲気。
Sean Kellyの歌も
Marc Bolanのあの独特のヴィヴラートを
きっと真似していたんだろうな、
と感じさせるちょっとディストーションの効いたもの。
特にアルバム2曲目の
"Love Me Electric"の
妖しげなムードは
"よく出来ました"で賞を上げたいくらい。(笑)
といってもそっくりショーではなく、
自分が影響を受けたものをうまくブレンドして
きちんと自分なりものにしているところが
Sean Kellyの大したところなのですが。
2003年に出てきた新しいバンドの中では
一聴に値するバンドの1つであることは確かです。

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という訳で今回は
HARDCORE SUPERSTARとCRASH KELLYの
2バンドを紹介しました。
HARDCORE SUPERSTARは国内盤が出ていますし、
CRASH KELLYもアマゾンなどで入手可能です。
見かけたら
「ああ、きみたちか」
と耳を傾けていただければ幸甚です。
それにしてもねえ、
ロックン・ロールって
一言でくくるけど
凄く感覚的なものを内包したジャンルだよなあ、
とつくづく思います。
曲のスピード、ブレイクの間、メロディのねじれ方、
どれもこれもみな方程式には出来ない、
センス、勘がものをいう音楽。
こればっかりは教えて出来るものじゃない、
数字に変えることも出来ない。
テクニックの問題でももちろんない。
それではまた次回ということで。
Rock'n'Roll is not only the style of music
but the way of life.
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