#6 みんなで歌おう
僕は今、ファミレスにいる。
と言うのも、残業仕事を片付けるためだ。
まあ、残業と言っても、簡単な書類作成なので、こうやってファミレスでやっつけているの
である。本当に、「リーマン」は楽じゃない。
しかし、どうも隣の女子高生達がうるさいのである。僕はタバコが吸いたかったので、喫煙席
にいたのだが、隣の女子高生も制服姿でおかまいなしにプカプカとやっている。
当然、はかどるわけもなく、残りは家でやることに決め、
「今時、ガングロかよ!?(三村風に。)」
と捨て台詞を心の中で吐いて、僕はその場を後にした。
ファミレスの会計をすまして外に出ると、すぐに見覚えのある人とすれ違った。
向こうは僕の事を知るわけもないので、す通りだったが、僕は思い切って声をかけてみる事に
してみた。
「ネズミ男さんですよねえ!?」
すると、彼はクルっと振り返り、ちょっとめんどくさそうにして、
「何か?」
と答えた。
間違いない。左右にひげを3本づつたくわえ、ちょっと大きめな目をもった彼は、僕が小さい頃
から見ていたネズミ男、本人だった。
僕は慌てて、
「小さい頃から見てました。握手してください。」
と握手を求めると、彼はまた、めんどくさそうにして、ちょっとため息をつきながらも、その要望
に答えてくれた。
すると、今度は何やら左の方を見て、僕に目配せをしている。
視線の先には屋台のラーメン屋があった。
僕は「ハッ」っと気づき、
「ラーメンでもどうですか?おごらせていただきますよ?」
と言うと、「そうかい?じゃあ。」と言って屋台の方へと歩いていく。
ネズミ男はのれんをめくると、「オヤジ、ラーメンね。」と言って座った。
僕も、のれんをくぐり、「あ、僕もラーメンを。」と言うと、ラーメン屋のオヤジは「あいよ、ラーメン
2丁ねえー。」と威勢良く答えてくれたのだが、オヤジの目と鼻はなかった。
僕はラーメンをすすりながらも、何を話そうかと考え、とりあえず鬼太郎について聞いてみる。
「鬼太郎さんとかは、今、何をしてるんですか?」
すると、ネズミ男は細い目をして、なつかしそうな口調で、
「鬼太郎ねぇ〜、奴は結婚したよ。猫娘と。」
「今は、1男2女をもうけて愛知県の山中で幸せに暮らしてるんじゃないかなあ〜。」
僕はちょっと驚きつつも、適当に話しを合わさなければと思い、こう口走った。
「そうなんですか?」
「僕はてっきり、鬼太郎さんは夢子ちゃんとくっつくのかと思ってましたよ。」
すると、ネズミ男はまたもや目を細くして、こう言った。
「夢子ちゃんねー、彼女はほら、3角関係に敗れてからは、すっかりヤケっぱちでね、ガングロ、
ヤマンバ、美白、1通りのコースをこなして今は水商売に落ち着いてるみたいよ。」
僕は、またも適当に相槌を打ち
「まじっすか?」
「てっきり、夢子ちゃんは真面目路線で行くのかと思ってましたよ。」
と言うと、ネズミ男は間髪入れずに、
「女は化けるよ、君!」 と言われてしまった。
し〜ん・・・。
場が白けてしまった・・・。
しかし、その間が嫌だった僕は、ネズミ男自身について聞いてみた。
「ネズミ男さんは、最近何やっているんですか?」
「最近ね、最近は何でもやってますよ、優勝請負人、パパラッチ、妻の浮気調査、婚約者の
素行調査、ナンパ代行、名古屋グランパスのサポーター、やってない事なんてないんじゃな
いかな?」
「あ、ちょっとトイレね。」
と言って、その場を離れたネズミ男は、もう戻っては来なかった・・・・・。
(2001,6,25)
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