#7 高知事件 (前編)
突然ですが、うちの大学には必須単位に実習なるものがあります。
いや、正確に言えば学部内の必須単位なんだけどね・・・。
その実習の内容とは、1週間ひたすら船の中に監禁され、ゲロを吐きつつも、それでも
僕らは船酔いに耐え続けねばならないという、いたってシンプルな人体実験なのですが、
人一倍、乗り物酔いの激しい俺は、かくして、一日を病人の如く寝て過ごしてみたり、揺れ
の少ない夜にだけ、ムクッと起き上がり、わい談に参加してみたりするのです。
しかし、大学側もアホではありません。
俺が耳から血を流し、白目でピクピク痙攣を始める前に手を打ってくれていました。
1日だけ高知で自由時間が与えられたのです。つまり、族に言う「仮釈放」って言うやつです。
仮釈放の日、俺は成り行き上、IとMの2人と行動を共にする事となった。
やはり、それなりにどこに行こうか?という話しになる。結局、一般知識に乏しい俺たちは、
桂浜に行って、高知城に行って、かつおのたたきが食えればそれでいい。というベタベタ
の結論を導きだす。
では、いざ桂浜へ。
調べたところによると、バスで行くのが一般的らしいです。
バス停に行き、桂浜方面に行くバスを調べていると、一台のタクシーが俺たちの前で止まり、
運ちゃんが「どこ行くのぉー?」と尋ねてきました。
俺たちは「桂浜」と言うと、そんなにかからないから乗っていきなぁーと、ゴリ押ししてきました。
俺たちは、まあ、ちょっとくらいの贅沢ならいいかと言う事で乗る事にした。
(あとになって気づいたのだが、この3人、誰一人「NO!」と言えない人間達であった。)
タクシーの中では俺たちの身の上話しが始まっていた。
人体実験中である事、仮釈放である事、船の通路にはゲロ捨て箱が置いてある事、隠れて
毎日シャワーに入る事、Iの実家が米屋である事、何でもない様な事。
そんな事を話していると、運ちゃんは「よっしゃ、2千円で街中案内してやる!」と言って、
料金メーターを切った。当然、俺たちは大盛り上がりです。つまり、俺たちの頭の中はこうだ。
たった2千円で、タクシーをチャーターしちまったぜ!
さて、桂浜に到着です。
他の学生も来ていたようなので、その学生達に向かって、タクシーをチャーターした事を、おも
いっきり自慢して、優越感に浸ってみます。
しかし、タクシーをチャーターしてしまったが為に、運ちゃんが付いて来ます。
案内してやると言われた通り、竜馬像の前で写真を撮ってくれたりといろいろな接待を受けた
のだが、Iはアイスクリン(アイスクリームの高知名。)をおごらされていた・・・・・。
その後も、土佐犬を見たり、桂浜を離れ、龍河洞と言う鍾乳洞に行ったりして、再び高知の
市街地、はりまや橋付近に戻って来て、俺たちはタクシーを降りる事にした。
すると、運ちゃんはとんでもない事をのたまいやがった。
「じゃあ、1万5千円ね。」
「!!!!!」
だ・・・騙された・・・。
普通に騙された・・・。
ぼったくり・・・。そういった言葉がある事は知っていた・・・。しかし、まさか自分が・・・。
そして、俺は慌てて、「2千円じゃあ・・・。」と言うと、
「ああ、あれは桂浜までの分。」
だ・・・騙された・・・。
普通に騙された・・・。 (後編に続く・・・。)
(2001,6,26)
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