#24 召還魔法のススメ
その日のオレは、この世に新生物を召喚しようとしていた。
とりあえず、この話をするには、1日前の話から始めなければならない。
その日はバイト先の新年会であった。次の日に大学のレポート提出があるにもかかわらず
俺は、他の誰よりも飲みまくり状態に陥っていた。
案の定、その日にレポートが書けるわけもなく、
5時間ほど寝て、朝から書いていたのであるが、
まさかの二日酔い、ちょうど風邪をひいており、熱もあったため、はかどるわけもなかった。
仕方がない・・。
残りは学校で書くことにして、体調も悪いし、バスで学校に行く事にしよう。
そう・・・・・、これが全ての過ちだった。
そして、ここからがオレの冒険のスタートである。
バスに乗って5分もしないうちに、俺の胃の中はすでに沸騰していた。
いつ、逆流してくるかは予想もつかん。
視界は遊園地のコーヒーカップに乗っているようだ。(乗った事ないけど・・。)
ここが小学校だったなら、こんなにヒヨッているオレを見て、
机が隣の子 「先生〜。すみ君が調子悪いみたいでーす。」
先生 「じゃあ、保健委員はすみ君を保健室に連れてってあげなさい。」
こうなります。
誰か助けてくれ!そう想い、回りを見渡す。
・・・・・・・・・・・。
みなさん、見て見なかったふりですか?
汚れた大人になってしまったのですね。ちくしょう、誰かオレを助けろよ。
さもないと、ここでカメハメ波撃つぞ?撃っちゃうぞ?(* #1 カメハメ波 参照)
学校まで、まだ10分はある。いつもは眠っていて、あっという間の学校への道のりがやたらと遠く
感じられる・・・。
「運ちゃん、もう駄目だ!とめてくれ!」
と何度も叫びそうになり、泣きそうになった。
しかしである。
バスは大学前に到着したのである!
ふう。オレはなんとか持ちこたえた。オレは奇跡をやってのけたのだ。
誰か・・、誰かオレ誉めてくれ・・。バスさえ降りれば、降りさえすればオレは救われるのだ・・。
そう思いながら、バスを降り大地を踏みしめたその瞬間!
俺の頭の中で1つの決議がなされ、107対1をもって可決された。
うん・・・・・。
オレ、吐くわ・・・。
ところがである!
一番近いトイレまでは目算で500メートル。(バス停は学校から少し離れています。)
その上、回りは登校中の学生達がいる。
このままみんなと歩いて行って途中で吐こうものなら、俺の人生おしまいだ。
見知らぬ人達にヒソヒソと、
「あ、あの人ねえ、道端で唐突にゲロ吐いてたよ。」
とか言われる人生。
マジで泣きそうです。
しかぁし!、こういう時の頭の回転の速い事早い事。
とっさに、一本、道が違うところに人のあまり通らない自転車道があるのを思い出した。
予想どうりである。
人はあまりいない。しかも、脇道は雑草地帯となっていた。
これはもう、『ここで吐け。』と言わんばかりである。
わんちゃんにも専用トイレがある様に、オレにもゲロ吐きポイントが用意されているとは!
神に感謝した。
・・・・・・・・・・・・・。
こ、こんなところで吐いてもいーんですか?いーんです。
くだらないモノマネで必死に自分をなぐさめてみたりもした・・。
ところが、大召喚魔法は俺の意志に反し、唐突にやってきたのであった。そう、別れの様に
唐突にね。
かくして、おれは朝食べたはずのバナナの召喚に見事成功したのである。
そしてその後、何もなかったかの様に図書館へと歩いて行く俺の後ろ姿はさぞ、美しかった
であろう。
P.S
尚、この事により、私にゲロざえもん、ゲロ野郎、ゲロティングファイターといったあだ名
が付く事 を著しく嫌う。
(2001,9,4)
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